金井宣茂宇宙飛行士のミッション報告会に行ってきた
7月26日に、金井宣茂宇宙飛行士の、国際宇宙ステーション(ISS)長期滞在ミッション報告会が開催されたので、夜の部に参加してきました。
約2000席ある、昭和女子大学の人見記念講堂で開催されたのですが、なんと満席。
やはりみなさん、とっても関心が強いようですね。
内容は4部構成。
第1部では、金井宇宙飛行士から、写真や動画によるミッション報告。
ISSは90分で地球を一周することや、ISSの大きさはサッカー場と同程度で、滞在人数は6人、などのISSに関する基本的な説明がありました。
その後、金井宇宙飛行士が行った実験として、
などの説明がありました。
この内容は、昼の部と同じだそうです。
第2部では、金井宇宙飛行士、佐孝大地フライトディレクター、中村大地フライトディレクターへのインタビュー。
3名が、質問に答えていく形式でした。
以下のような内容でした。
「ミッション成功の秘訣は?」
- 訓練や準備が最も重要。(金井)
- コミュニケーション。(佐孝)
- 間違えたことを正直に言う。(中村)
「ミッション中の緊張したエピソード、感動したエピソードなど、記憶に残ったエピソードは?」
- 研究者たちの期待が詰まった実験サンプルを手にしたときに、緊張した。(金井)
- 金井宇宙飛行士が中継中に、手でダブルサインを作ったこと。(佐孝)
「宇宙飛行士になるために必要なことは?」
- 宇宙でのミッションはひとりではできません。チームワークが大切です。周りにいる人を大切にしてください。(金井)
「宇宙はどんな音がする?」
- 宇宙空間は空気がないので音はありませんが、国際宇宙ステーションの中はモーターのブーンという音や、ファンやバッテリーの音、他の宇宙飛行士のおならなど、地球と変わらない音のする、普通の空間です。(金井)
- きぼうの中はとても静かできれいです。ロシアの施設はポンプの音がうるさいし、アメリカのラボは機械がたくさんあり、結構音がします。(金井)
- きぼうがきれいなのは、実は整理整頓を担当している管制官がいるからです。(中村)
第3部では、健康長寿に関する実験の取り組みについてのパネルディスカッション。
ISSでの小動物飼育ミッションの報告と、健康寿命を伸ばすための研究との関係性について説明がありました。
健康寿命とは、日常生活に支障のない健康な身体でいられる寿命で、平均寿命より10年前後短くなります。
健康寿命が少しでも長くなれば、介護や医療にかかる費用や、家族の負担が軽減できます。
そのため、無重力空間での老化の促進実験のため、12匹のマウスをISSで飼育しました。
この小動物飼育ミッションは、以下の3つの世界初があります。
- 重力のある環境(宇宙での1G)と無重力環境(0G)の違い以外を、全て同じ条件にした環境で飼育した。
- 12個の個室でそれぞれ飼育した。
- 12匹全てが地球に帰還した。
飼育に使用した設備の説明もありました。
部屋の奥の黒い格子がエサの供給設備で、その左側の丸い部分が水の供給設備だそうです。
宇宙で1ヶ月間飼育されて、無事帰還したマウスをCTスキャンした結果、無重力(0G)環境で飼育されたマウスは骨がすかすかで、骨量が1/3になっていることがわかりました。
また、実はこのマウスは、「Nrf2」という遺伝子が欠如しています。
「Nrf2」は、ストレス防御に非常に重要であり、また心筋梗塞の軽減や発ガン予防などの効果もあります。
つまり、宇宙へ行ったマウスたちはストレスに弱いのです。
Nrf2が欠如した状態で宇宙へ行ったマウスたちは、成長期にも関わらず、体重が増えませんでした。
第4部では、これからの有人宇宙活動に関するパネルディスカッション。
モデレータの石井氏は宇宙ビジネスをメインに活動している方なので、話の内容は少しビジネス寄りになりました。
民間企業による地球低軌道のビジネストレンドについて紹介がありました。
近年は民間がロケットを積極的に打ち上げる計画を立てており、野口宇宙飛行士は、民間のロケットでISSに行くかもしれない、といった話がありました。
また第3部で話題に上がった、宇宙で1Gを作ることができる遠心機械は、回転数を変化させることで、様々な重力を再現することができるそうです。
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そしてなんと最後に、野口聡一宇宙飛行士がサプライズ登場しました。
野口聡一宇宙飛行士が考える、「金井宇宙飛行士のすごいところ」
・サイエンスに強い
・初のISS滞在で、船外活動、長期滞在、ロボット使用の3つを
・金井スマイル
だそうです。
とても興味深く、楽しい2時間半でした。